小沢氏の不起訴不当申し立て=検察審査会に−陸山会事件(時事通信)

 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、小沢氏を不起訴とした東京地検特捜部の処分を不当とする審査の申し立てが12日、東京第5検察審査会にあった。
 同審査会が2度、「起訴相当」と議決した場合、小沢氏は強制的に起訴されることになる。
 特捜部は4日、衆院議員石川知裕被告(36)ら3人を同法違反罪で起訴。小沢氏については、石川被告らとの共謀を立証するだけの証拠がないと判断し、嫌疑不十分で不起訴処分とした。 

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手製拳銃4丁隠し持つ=「西部劇ファン」の男逮捕−大阪府警(時事通信)

 自宅に手製拳銃を隠し持っていたとして、大阪府警捜査4課などは9日までに、銃刀法違反容疑で、同府富田林市梅の里、無職山崎昭容疑者(66)を逮捕した。容疑を認め、「西部劇を見て拳銃が好きになった」と話しているという。
 逮捕容疑は昨年12月10日、自宅で手製の回転弾倉式拳銃4丁を所持していた疑い。同課は山崎容疑者宅に飾られていた手製銃4丁のほか、別の1丁分の部品、さらに実弾22発を押収した。
 同課によると、山崎容疑者はインターネットを通じ、米国から真正銃の弾倉を輸入。他の部品は国内でそろえていた。完成した手製銃は庭で試し撃ちしており、いずれも殺傷能力があったという。 

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石川氏処遇、党で判断も=鳩山首相(時事通信)

 鳩山由紀夫首相は9日午後の衆院予算委員会で、小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体の政治資金規正法違反事件で起訴された石川知裕同党衆院議員について、「幹事長と石川議員の間で早く結論を出すべきだ。本人の身の処し方が十分でない、あるいは必ずしも国民の思いとは違うということになるときに、党としての判断も当然出てくる」と述べ、党が処遇を判断することもあり得るとの考えを示した。自民党の平将明氏への答弁。 

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山本病院、死亡時刻を2時間遅らせカルテ記載(読売新聞)

 奈良県大和郡山市の医療法人雄山会「山本病院」(解散)の業務上過失致死事件で、元理事長の山本文夫被告(52)(詐欺罪で実刑判決を受け控訴中)らが2006年6月、肝臓手術で失血死させたとされる男性(当時51歳)の死亡時刻を、実際より2時間遅くカルテに記載していたことがわかった。

 また、ともに手術をした元勤務医の塚本泰彦容疑者(54)は山本被告の指示を受けて、死因を「急性心筋梗塞(こうそく)」と改ざんしたと供述、県警は手術中の死亡を隠蔽(いんぺい)しようとしたとみている。

 奈良県が07年1月に実施した聞き取り調査で、山本被告は、〈1〉手術は午後1時半頃に終了〈2〉男性を病室に戻した後、急激に血圧が低下した〈3〉約2時間、心臓マッサージなど心肺蘇生(そせい)を試みたが、同3時39分に急性心筋梗塞で死亡した――などと説明。カルテにもそう記載していた。

 しかし、看護師らが記載する手術記録や病院関係者の証言では、男性は手術中の午後1時半頃、肝静脈損傷による大量出血で心肺停止状態に陥っていたことが判明。手術後に山本被告の行方がわからなくなった後、塚本容疑者は傷口を縫合して、男性を集中治療室(ICU)に移したという。

 県警の調べに、塚本容疑者は手術後の状況について、「手術中に男性が死んだが、隠すため、手術室からICUに移した。山本被告に『死因は急性心筋梗塞でいいやろ』と指示された」と供述しているという。

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 経営再建中の日本航空がハイチ大地震で被災した子供たちを助けるため、顧客からマイレージでの寄付を受け付けている。ミニブログ「ツイッター」などで日航と全日本空輸の対応が話題になったこともあり、「全日空よりも速く、お客さまの要望に応えたい」と異例のスピードで決定。再建に向け、イメージアップを図った格好だ。

 あるユーザーのツイッターによると、先月24日、日航と全日空に「マイレージで寄付したい」と要望。日航は「そのようなサービスはございません」、全日空は「早速担当部署に検討させます」と回答した。これがツイッター上で「ユーザーと向き合う姿勢がまるで違う」と話題になり、音楽家の坂本龍一さんも「この差は大きい」と投稿したことからネットで拡大した。

 日航では翌25日、顧客からの要望を踏まえ、支援を決定。日航広報は「お客さまの声にしっかり向き合いたいという社員の熱意が一致した。ツイッターでの反応も把握している」。逆に、全日空は同様の支援を実施しないという。

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<火災>陸自演習場で枯れ草50ha焼く 熊本(毎日新聞)

 7日午前8時10分ごろ、熊本県山都町北中島の陸上自衛隊大矢野原演習場で、砲撃訓練中に迫撃弾の着弾地点付近から出火した。演習場内の枯れ草に燃え広がり、同日正午現在で50ヘクタールを焼いた。陸自と県の消防ヘリコプター計4機が散水するなどして消火作業をしている。付近に民家はなく、延焼の恐れはないという。

 陸自第8師団(熊本市)によると、同日午前7時ごろから宮崎県都城市の第43普通科連隊迫撃小隊の17人が、81ミリ迫撃弾の砲撃訓練をしていた。

 大矢野原演習場では、06年1月にも訓練中に枯れ草150ヘクタールを焼いた。【大塚拓三】

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自社のベビーカーなど260点運び出す 窃盗容疑で会社員逮捕(産経新聞)

 埼玉県警岩槻署は6日、自社商品のベビーカーなど約260点を盗み出したとして窃盗の疑いで東京都足立区西新井栄町、会社員、吉住昌久容疑者(42)を逮捕した。

 岩槻署の調べによると、吉住容疑者は1月29日午前9時ごろから30日午前1時45分ごろの間に、自分が勤務するベビー用品メーカーの商品が保管されているさいたま市岩槻区馬込の倉庫から、ベビーカーなど約260点(計約875万円相当)を運び出し、盗んだ疑いが持たれている。

 同署によると、吉住容疑者は盗んだ商品をレンタカーのトラックに積み、岩槻区内のレンタルボックスに保管していた。会社では商品の検品を任されていたが、以前から勝手に商品を持ち出すなどしていたことから解雇を通告されていたという。調べに対して「以前にも同じようなことをした」と、容疑を認める供述をしているという。

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 大阪市天王寺区の同市営地下鉄谷町線天王寺駅のホームで1日午前8時半頃、エスカレーターの乗客数人が転倒する事故があり、男女2人が軽いけがを負った。

 目撃者によると、ラッシュ時間帯でホームは相当混雑し、エスカレーターの降り口付近は、数十人が降りることができずに団子状態になっていたという。同市交通局は「運行に影響がなく、事故原因が乗客だった可能性もあった」として公表していなかった。

 市交通局によると、同駅上り線ホームのエスカレーターで、乗っていた男性がホームに降りる直前に逆戻りしようとして、他の乗客数人を巻き込む形で転倒したという。男性はホームの混雑を避けようとしたとみられる。

 当時、エスカレーターに乗っていた別の男性(48)(大阪府羽曳野市)によると、数十人が降り口付近で折り重なり、背後の人に倒れかかる危険な状態だったという。男性は「あちこちから『助けて』『止めてくれ』などと悲鳴が聞こえ、次第に圧迫され動けなくなった。死ぬかと思った」と話した。

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五輪招致活動報告書が判明 知事、61委員と交渉 深い関係築けず(産経新聞)

 2016年夏季五輪招致で、昨年10月のIOC(国際オリンピック委員会)総会でリオデジャネイロに敗れた東京都の招致活動報告書の概要が1日、判明した。招致失敗の原因に言及する一方、石原慎太郎知事が招致期間中に個別に面会して支持を訴えたIOC委員が計61人(全世界で107人)に上ったことなど、短期間で広範囲な活動を展開したことなどが盛り込まれている。

 報告書概要は、2日に開かれる東京五輪招致委員会の理事会で示される。報告書は約500ページ。招致活動が詳細に記されており、都が招致期間中に国際スポーツ会議に計20回(16カ国)、国際競技大会に計20回(13カ国)など、すべての主要国のスポーツイベントに参加していたことなどを明記している。

 一方、報告書は敗因についても言及。世界の国際スポーツ団体(計33団体)の中で、日本人の会長が1人もいないことや、国際的な影響力が他国に劣っていたこと、投票権を持つIOC委員と深い関係を築くことができていなかった点などを厳しく指摘した。

 将来的な五輪招致をにらんだ今後の対策としては、積極的にあらゆる国際スポーツ大会を招致し、各国の有力者やIOC委員を招くことなどを挙げている。また、招致関係者によると、招致経費の最終的な決算については、2日の理事会での報告を見送る方針。景気低迷の影響で寄付金が予定より7億円程度不足した分を補う大手代理店との“値引き交渉”が終了していないためで、今月下旬に始まる都議会定例会まで調整を続けるとしている。

重機窃盗容疑でガーナ人ら逮捕=4県で被害数十台か−新潟県警など(時事通信)
<火災>給食室の一部焦がす 大阪・住之江の小学校(毎日新聞)
【日本人とこころ】福田恆存と孤独(上)「日本にも天がある」(産経新聞)
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<1票の格差>衆院比例ブロックの定数配分は合憲 東京高裁(毎日新聞)

人を大切にする医療システムを(医療介護CBニュース)

【第95回】海野信也さん(日本産科婦人科学会医療改革委員会委員長)

 日本産科婦人科学会の医療改革委員会では、2030年に90万分娩に対応できる医療提供体制の構築を目標とする「産婦人科医療改革グランドデザイン2010」の年度内の取りまとめを目指している。委員長を務める海野信也さん(北里大医学部産婦人科学教授)は、「病院の産婦人科医たちは、非常に過酷な勤務条件で働いている」と訴え、「現場の人間を大切にする医療システムにしてほしい」と話す。(高崎慎也)

■産科診療所は重要な役割を果たしている
―「医療改革グランドデザイン」の骨子案では、20年後に90万分娩に対応できる医療提供体制の構築を目標に、年間500人の産科専攻医を新規に確保することを掲げています。
 90万分娩を、誰がやるのかという問題があります。90万分娩に対応するには、産科医9000人前後の実働が必要です。ただ、われわれが努力できるのは、新たに入って来る医師の数を増やすことだけです。例えば今35歳で、20年後に55歳になっている医師の数は、今より減ることはあっても増えることはないでしょう。
 現在の産科医の実働数は6300人程度です。今のペースで毎年400人ずつ確保しても、20年後には7000人弱にしかなりません。しかし、500人ずつ確保できれば、20年後には8100人になり、目標に近づくことができます。
 ただ、年間500人というのは産婦人科にとって非常に大きな数字です。新規専攻医は、長年300人強しかいなかったのがここ数年、ようやく400人を超えたのが現状です。国や社会の協力がなければ、目標は達成できないでしょう。

―骨子案には、全分娩のうち2分の1から3分の2を産科診療所などの産科専門施設で担当することも盛り込まれています。
 分娩の取り扱いに関しては、病院よりも産科診療所の方が効率が良いのです。診療所は分娩が中心で、しかもローリスク分娩を主に取り扱っているからでしょう。08年のデータで、医師一人当たりが管理した分娩数が、診療所の216件に対して病院は100件を下回っていました。現在の分娩の割合は診療所と病院で半々ですが、病院での分娩の割合が増えれば、必要な医師数が増えてしまうのです。
 逆に言うと、これは「診療所の分娩をつぶすと大変なことになる」というメッセージでもあります。病院の産婦人科医たちは、非常に過酷な勤務条件で働いています。これ以上負担が増えれば、現場から撤退してしまうでしょう。

―産科診療所での分娩の割合を確保するには、どういった取り組みが必要でしょうか。
 産科診療所の数が、急速に減っている現状があります。今ある診療所がやめているのは、続ける経済的なメリットがないからです。また、新たに開業する人が少ない理由は、新規に参入するメリットがないからです。インセンティブを設けて、新規参入しやすい環境を社会的に整備することが必要でしょう。

―骨子案には、「産科診療所は地域の分娩環境の安定要因となり得る」とありますが、「経営基盤が揺るがない限り」との条件が付いています。
 産科診療所は、日本の分娩全体の48%を担当しており、地域の分娩環境を確保する上で極めて重要な役割を果たしています。しかし、経営状態は決して安定しているとは言えません。出産育児一時金の直接支払制度の導入が大きな問題となった背景には、こうした産科診療所の経営実態があります。
 ほかの科で有床診療所がどんどんつぶれているのは、今の診療報酬の体系では、有床診療所が経営を維持するのが難しくなっているということだと思います。そのため、足立信也厚生労働政務官は4月の診療報酬改定に際して、地域医療を支える有床診療所などを手厚くする意向を示しています。
 一方、産科診療所を診療報酬で支えることはできません。産科診療所の経営基盤は、ほかの科とは違います。ほかの科は診療報酬で経営していますが、分娩は自由診療ですから、収入において診療報酬の占める割合は非常に低いのです。
 産科診療所はこれまで、ほかの科とは全く別のシステムの下で運営されてきています。産科診療所を守ることは重要ですが、産科診療所のビジネスモデルは、今のシステムの中で構築されていることに注意しなければいけません。安易な制度変更でこれまでのシステムが崩れると、このシステムの下で役割を果たしてきた開業医が分娩をやめてしまう危険性が生じます。制度変更を検討する際には、地域の分娩環境を破壊しないための細心の注意が必要になります。

―全分娩に占める診療所の割合が増えた場合、どのような問題が生じる可能性がありますか。
 救急対応の患者には、診療所だけでは対応し切れない場合が出てきます。診療所が伸び伸びとローリスク分娩を担当するためには、ハイリスク分娩を引き受ける周産期センターなど、地域の周産期医療システムによるバックアップが常に存在していなければいけません。救急搬送の体制が地域で整備されていないと、診療所は危なくて開業できなくなります。

■処遇を改善できる施策が必要
―取りまとめたグランドデザインは、どのように活用されるのでしょうか。
 厚労省や文部科学省、自治体、病院との交渉の際に、日本産科婦人科学会の現状認識を示す基盤になると考えています。中央社会保険医療協議会(中医協)の遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)が、「医学系学会が医療をどうしたいのか、現状認識を示してくれないと分からない」と言っておられたようですが、その通りだと思います。それぞれの診療分野でそれぞれに特殊な事情がありますから、医療再建のためには各専門領域の学会が、現場の実情に即した考え方を明確に示すことが必要です。
 産婦人科が大変な状況にあることは、まだ十分には知られていないと思います。産科医療機関がつぶれたり、搬送先がなかなか決まらずに、妊婦がいわゆる「たらい回し」の状況になったりすると、国民に不安を与えることになります。産婦人科は、これまでも何度も大きな社会問題になって、国民に不安を与えてきました。これ以上迷惑を掛けないためにも、「今はこれが必要」というのをしっかり主張する必要があると考えています。

―先生が「今はこれが必要」と考えるのは、どのようなことですか。
 診療報酬に限らず、現場の勤務医の処遇を改善できる施策が必要だと思います。人を増やすには、それだけ良い勤務条件を用意しなければいけません。産科医がやりがいのある仕事だということは、みんな分かっています。ただ、勤務条件や報酬のバランスが取れていないから、産科医になりたがらないのです。ほかにも勤務条件や報酬などのバランスが取れていない科はありますが、そういう科は軒並み医師数が減っています。改善するための施策を、早急に実施する必要があるのは明白です。
 一つは、時間外勤務が長く、月の在院時間が300時間を超えるような医師を、金銭的に評価することです。現場の医師は、過労死水準をはるかに超えるほど働いています。医師不足の現状では、患者さんのためにやむを得ないと考えている一方、そのような貢献が社会的に全く評価されていないとも感じています。
 また、月の勤務時間を減らすため、医師を増やすことが重要です。500分娩当たりの当直担当医が5人なら、1か月の在院時間は274時間になります。しかし、500分娩当たりの当直担当医を8人に増やせば、1か月の在院時間は231時間にまで減らすことができます。
 中医協で嘉山孝正委員(山形大医学部長)が、医師の処遇改善のため、病院の人件費比率を下げないことを主張していました。4月の診療報酬改定で、病院の診療報酬が増えた分をどこに使うのか、それが問題です。人件費に使わないと、現場の勤務条件は改善されません。時間外に勤務している医師を金銭的に評価するにしても、人を新たに確保するにしても、人件費を増やす必要があるのです。
 人件費には、いろいろな使い方があると思います。メディカルクラークやコメディカルスタッフを確保することでも、医師の勤務条件の緩和につながります。ただ、それだけでは十分ではありません。医師数が増えないと、当直回数、時間は減らないからです。チーム医療も必要ですが、医師の確保も重要です。

―医師の確保にしてもチーム医療にしても、人件費を増やすことが医師の処遇改善には必要ということですね。
 人が自分の手を使って、人を手当てするのが医療の根本です。事務の省力化のために高いお金を使って機械やシステムを導入しても、かえって医師の手間が増えてしまい、医療の効率が低下する事態がしばしば起きています。良い医療のためには、人手がたくさん必要なのです。現場の人間を大切にする医療システムにしてほしいと思います。


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